アメリカの不動産エージェントの選び方

 アメリカで不動産を購入する際には、不動産エージェントを決める必要があります。アメリカは公用語が英語で、日本との時差も大きいので、日本の投資家に代わって適切に取引をする不動産エージェントと付き合うことが、アメリカ不動産投資を成功に導くためのポイントになります。以下では、アメリカの不動産エージェントの選び方について説明します。

アメリカの不動産エージェントとは

 アメリカでは、不動産事業者(エージェント)は、医者や弁護士と並ぶ三大士業の一つとされています。不動産エージェントがいないと不動産売買ができず、エージェントになるためのハードルが高いからです。

 日本では、宅地建物取引士という資格を持つ者がいれば、不動産会社を設立することができ、宅地建物取引士の資格がなくても4名まで従業員を雇うことができます。一方、アメリカでは、不動産取引に従事するには、全員が不動産エージェントの資格(ライセンス)を取得しなければなりません。

 アメリカの不動産エージェントは、不動産セールス者(Real Estate Sales Person)と不動産ブローカー(Real Estate Broker Person)の2つに分かれます。不動産セールス者になるためにはセールスライセンス、不動産ブローカーになるためにはブローカーライセンスを取得する必要があります。

 不動産セールス者は、特定の不動産会社に登録しないと、不動産取引に従事することができません。一方、不動産ブローカーは、独立して自分で不動産取引に従事することができます。

 セールスライセンスを得るには、指定機関で講習を受け、講習の最後に指定機関での試験を受験します。指定機関の試験に合格すると、州による試験を受験することができます。州の試験にも合格するとセールスライセンスを取得することができます。

 ブローカーライセンスを得るためには、不動産セールス者として2年間継続して活動し、一定の不動産取り扱い実績(金額と件数)をあげる必要があります。この要件を満たした者のうち、ブローカーライセンスの取得を希望する者は、指定機関で講習を受けることができます。講習後に指定機関による試験に合格し、州の試験にも合格するとブローカーライセンスを取得することができます。
不動産事業者は、ライセンスを取得した後も、ライセンス維持のために、2年ごとに22.5時間の講習を受けて更新する必要があります。また不動産ブローカー会社は、所属する個人エージェントの規則違反や道徳違反を防止するため、所属するエージェントに幅広い教育を施す必要もあります。

 アメリカでは、ライセンスが州ごとに発行されます(日本は宅地建物取引士という全国一律の資格)。このためニューヨークの不動産セールス者や不動産ブローカーは、ロサンゼルスで不動産取引をすることはできません。

買主エージェントと売主エージェント

 アメリカでは、同じ不動産事業者が、買主と売主の両方を同時に代理して不動産取引を完結すること(いわゆる両手仲介)はありません。アメリカの不動産エージェントは、買主と売主それぞれにつくことになります。

 不動産エージェントに支払う手数料は、日本とアメリカでは大きく異なります。日本の場合、買主も売主も売買金額の3%を不動産エージェントに支払うことが一般的ですが、アメリカでは、売主のみが不動産エージェントに売買金額6%を支払います。売主のエージェントは、6%のうち3%を買主のエージェントに分配します。

よい不動産エージェントの選び方

 アメリカの不動産エージェントの多くは、顔写真や経歴などをウェブサイトに公開しています。まずは、こうした情報を丁寧に確認することが大事です。

 アメリカでは、各地域に不動産エージェントの協会があります。協会への加盟は義務ではなく任意ですが、協会に加盟しないエージェントは少ないです。協会は、自主規制や倫理規定などを設定しており、研修プログラムなども充実しています。こうした協会への加盟状況も、エージェントを判断するうえでのポイントになります。

 取引実績が数多くあり、信頼できそうと判断できる人が見つかれば、まずはメールなどで問い合わせをしてみましょう。不動産取引は、取り扱う金額が大きいので、実績や信頼だけでなく、コミュニケーションがスムーズにとれることも重視しましょう。そして、可能な限り、実際に会ってみることも重要です。

 日本人がアメリカの不動産エージェントであることも珍しくありません。日本人であれば、コミュニケーションがスムーズにとりやすく、日本の実情にも詳しい可能性が高まります。ただ、日本人だからといって信頼するのではなく、実績、発言内容、物腰、境界への加盟状況などをもとに、複合的に判断すべきであることに変わりはありません。