海外不動産投資による節税

 国内、海外を問わず、不動産投資のメリットの一つに、課税繰り延べによる節税効果、があります。

 不動産物件は建物と土地で構成されます。土地は時間がたっても価値は失われませんが、建物は時とともに価値が失われると考えられます。そこで税制では、建物部分を対象に時とともに失われる価値を減価償却という考え方で費用として計上します。そして不動産物件によって得られた利益から減価償却を差し引いた額に対して税金が課されます。

 ただ、減価償却は税制として計上されるだけであって、実際に支出を伴う(お金を支払う)ものではありません。つまり減価償却が多ければ大きいほど、課税される金額が小さくなるほか、手元に残るお金も多くなります。

 たとえば、年間所得2000万円の方が、1億円(土地5000万円、建物5000万円)する物件を全額借り入れ(借入金利2%)で取得したとします。年間の賃料収入は1000万円とし、経費(金利)が200万円、管理のための経費が100万円、元利金の返済が500万円とします。すると税引前に手元に残るお金は

賃料収入(1000万円)-金利(200万円)-経費(100万円)-元金の返済(500万円)=200万円

となります。

 ここで課税される金額を考えてみましょう。5000万円の建物を4年間で減価償却すれば、1年あたりの償却額は1250万円(5000万円÷4)になります。課税される金額は、

賃料収入(1000万円)-金利(200万円)-経費(100万円)-減価償却(1250万円)=▲450万円(450万円の赤字)

となります。

 つまり、税制上では、赤字となり税金が課せられることはありません。ところが、上記のように、実際の手元には200万円が残ります。

 減価償却の仕組みを活用した節税は、(じつは)税金を減らしているわけではありません。先送りにした税金は、物件を売却した時の譲渡益にかかることになります。

 ただ、物件を売却するのは先(未来)のことです。それまでは、手元に残った200万円を別の投資に使うことができます。別の投資で利益が得られれば、トータルで見た利益が増えることになります。これが、課税繰り延べによる節税効果、です。

 ここまでは国内、海外ともに不動産投資で使える考え方ですが、海外不動産は、国内不動産に比べ、(1)建物比率が高い、(2)築年数が古い物件が多い、という特長があります。

(1)建物比率が高い
国内不動産の物件取得額を建物部分と土地部分に分けると、物件にもよりますが、取得額の多く(たとえば60%以上)が土地のために使われます。

 一方、海外不動産の場合、物件取得額の多くは建物部分に使われます。米国では一般的な物件の取得額に対する建物の比率(建物比率)は80%以上になります。

 海外不動産のほうが建物比率が高いのは、海外不動産物件は国内不動産に比べ建物の寿命(建て替えなどのサイクル年数)が長い(建物が長く残存することが前提となっている)ためと言われています。

 上述したように、土地は減価償却の対象になりませんので、同じ取得額であれば、建物比率が高い海外不動産のほうが国内不動産よりも節税効果が高いことになります。

(2)築年数が古い物件が多い
日本では木造住宅の法定耐用年数は22年と定められていますが、築23年目以降の物件を取得した場合、税制上の建物の価値がゼロとなる年数(耐用年数)は4年とされます。減価償却額は、取得額を耐用年数で割ることで決まりますので、築年数が古い物件のほうが、減価償却額が大きくなります。

 米国など海外不動産は、建物の寿命が長いため、古い築年数の物件がたくさん存在します。このため、減価償却の耐用年数は4年程度と短くなり、減価償却による節税効果が国内不動産より高くなります。

おすすめ